2017年04月 / 03月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫05月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2007.11.19 (Mon)

『情熱の温度』 木原音瀬

情熱の温度 (アイスノベルズ) 情熱の温度 (アイスノベルズ)
木原 音瀬 (1999/08)
オークラ出版
この商品の詳細を見る


自殺しようとした高校の教師・泉野を父が助けた縁で、吉川の家に泉野が来るようになった。暗い泉野に嫌気がさしながらも、一緒にいるうちに彼の意外な面も見えてきて、しだい惹かれていくのだが…。


不器用な教師・泉野とそれに振り回されながらも一途に愛する生徒・吉川の話。
たどたどしいけれど情熱的な恋愛模様が紡がれていく。

ただ側にいる為だけに自分の恋情を押さえ込み、
相手の幸せばかりを願う吉川の無償の愛。
そんな吉川に惹かれつつも、その小心さゆえに逃げる泉野。
リアリティのないこんな二人の関係を、
圧倒的な説得力で物語に昇華させるのは作者の力量ってもの。

木原作品全般に言えることなのだが、とにかくキャラの性格がよろしくない(笑)。
自己中心的だったり、小狡い奴だったり、超ことなかれ主義の裏表野郎だったり…。
本作の泉野の性格にしても、悪人ではないけれど、良いところも見つけにくいし、
本人からして、「何の取り柄もない、人に迷惑をかけるだけの最低な男」と
自己評価するくらいだ。

要領が悪く臆病な彼は、何をしても後悔ばかりで、そんな自分を情けなく思いながらも、
今さら変われないことも自覚しているのだが、どうにも歯痒い。
私が彼にイラつくことなく読めたのは、泉野に感情移入し、
彼の視点で読んでいたせいかもしれない(陰気なおやじにシンクロしてしまった…)。
神経質で、臆病。優しくて強い年下の男に心を乱されるけど、
その気持ちを持て余すことしかできない。
挙句に逃げて、職も失い、他の愛を得ることもできず、さらに身体に障害まで負ってしまう。
そしてやはり自分の居場所は見つけられない。
追いつめられて、ギリギリのところに立って、
初めて自分の本当の気持ちに気付く男の、なんと愚かで、愛しいことか。

そんな泉野の我が儘放題を許せる吉川クンは、お人好しというか懐が深いというかは、
読み手の感性によるところだろうか。
夢見る乙女にとって、白馬に乗ってきた王子様にも匹敵する理想の恋人なのだろうけど――
いないよ、こんなヤツ(笑)。
それでも、雪の降る中、最後まであきらめなかった吉川の無償の愛に、温かく涙した。

すべてを失った空虚な泉野が、「全部くれてやる」と言うまでのくだりは秀逸。
目眩がするような高揚感に浸ったのだ。

スポンサーサイト

テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

12:13  |  木原音瀬  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2007.11.14 (Wed)

『眠る兎』 木原音瀬

kihara_1.jpg
眠る兎 (ビーボーイノベルズ)
木原 音瀬 (2002/09)
ビブロス
この商品の詳細を見る

ほんの冗談で書いた手紙をきっかけに、高校生の浩一は、十も年上の男と付き合うことになってしまった。男が名乗る名前も職業も偽りだと知っていたし、他に好きな女の子もいたけれど、男があんまり純粋で―。(「BOOK」データベースより)


木原さんのデビュー作。
臆病で消極的な年上の男(高橋)に恋する高校生(浩一)といったら、メルヘンである。
リアリティが薄い設定にもかかわらず、不自然さを感じさせないのは、
作者の力量ってもの。
キャラが息づいている確かさがあって、質のいい恋愛小説だと思う。
切ないのに、ほんわり暖かい読後感が残る秀作だろう。
浩一がどんどん男っぽくなっていくのも素敵。恋の力は偉大なのだ

同時収録の「冬日」は「眠る兎」の後日談で、
実家に帰省した高橋が初恋の相手に再会する話。
こちらはうっとり甘い。
こんな恋ができたら人生に悔いはないだろうな(笑)。

テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

21:57  |  木原音瀬  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2007.10.19 (Fri)

木原音瀬さんの世界

かなりの冊数のBoy's Love小説を刊行している木原音瀬さんだが、
シリアスで心が痛い雰囲気の作品がほとんど。
木原さん独得の視点で描かれる作品世界は、
いい意味でBL小説というジャンルから逸脱している。
特に「箱の中」は雑誌『ダ・ヴィンチ』(06/09月号)で三浦シモン氏が、
このBLに芥川賞を――と絶賛している。

BL小説は有り体に言えば、現実にはありえないファンタジーである。
しかしデティールを積み重ねていくことで、リアリティを持たせ、作品世界に厚味を増していく。
誰かを求める心と、人を愛しく思うことの似て非なるエゴイズムや、
その狭間にある危うさを描かせたら絶品である。


「眠る兎」
「情熱の温度」

テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

23:05  |  木原音瀬  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。