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2007.11.23 (Fri)

「テイク・ラブ」(新装版) 野村史子

JUNE小説史上最高傑作といわれる『テイク・ラブ』が出版社を変えて復刻されました。
書店で見たときには思わず目を疑ってしまったけど、なんとも懐かしく、
著者の野村史子さんの作品には思い入れがあった分、
胸にじんわり染み入るものがありました……本屋でうるうる
しそうになったじゃないかー、ってくらい(恥)。

テイク・ラブ (KAREN文庫 Mシリーズ)テイク・ラブ (KAREN文庫 Mシリーズ)
(2007/10)
野村 史子

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エクアドルから15年ぶりに帰ってき来た日本。山崎には、その15年間、1日たりとも忘れることのできなかった恋人がいた。その恋人のおもかげを追って、山崎は重く苦しい過去の中へと入っていく…そこで、山崎がふたたび目にしたものは何だったのか。夢と現実のはざまで動く、脆く、儚い男たちの仮面舞踏会。表題作の他「アウト・オブ・フォーカス」「薔薇はもうこない」を含む、愛の短篇集第2弾。


うーむ……「仮面舞踏会」
1991年初版という時代を感じさせるこの耽美な紹介文は、再考してもよかったんじゃないだろうか。

   
  こちらは私が持っている角川スニーカー版で、
  挿絵は麻々原絵里依さん。
  思えば当時、ルビー文庫はまだ発刊されていなかったのだよ。







でも復刻するなら『レザナンス・コネクション』(愛の短篇集第1弾になるのかな)から
再版したほうがよかったんじゃないかしら。
本書の表題となっている「ティク・ラブ」はとても優れた作品ではあるのだけど、
背景となっている学生運動やそれに付随する事柄が
新しい読者さんには理解しにくいという声もあるようです。
私も学生運動自体を知る世代ではないのだけど、
まだなんとなく話題になったり聞きかじったりしていたので、
背景が分からないという意見にはちょっとびっくり。時代なのねぇ
私はこの表題作の「ティク・ラブ」と「アウト・オブ・フォーカス」も好きだけど、
もう一冊の『レザナンス・コネクション』の方がもっと好き。
そして今の時代を考えると、こちらの方が分かりやすいかもしれません……痛いけど。

実は私がHPを作るきっかけとなったのが、野村史子さんの作品を紹介したかったからで、
私にとってのBLベスト10に入る作家さんです。
なので、レビューにもリキ入っております。ぜひ覗いてみて下さいな(笑)。

それにしても、野村史子さん……よく再版をOKなさったなあ。
恋する乙女のごとく、今でも愛しく思える作品に出会えたことを感謝します。


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「レザナンス・コネクション-共鳴関係-」
「グッバイ・ミスティ・ラブ」
【作者紹介】
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23:04  |  野村史子  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2002.01.09 (Wed)

「グッバイ・ミスティ・ラブ」野村史子

おまえの愛は、決して、誰からも奪われることはない。


初出1987年「小説JUNE 8月号」/
『レザナンス・コネクション』収録 1990年 角川スニーカー文庫

【内容】
森川真二(真)は仕事で訪れたロンドンで12年振りに、街角でヴァイオリンを弾く透を見かける。
2才になる前に母を亡くした真を育て、愛してくれたのが当時17才の透だった。だが、11才の誕生日の翌日、透はふらりと出て行ってしまったのだ。
真は街で引っ掛けたチェックの中に透の面影を求める。自分を抱きながら真が別の人間を求めていることを知りつつも、チェックはそれを受け入れる。
透への経ち切れぬ想いと、チェックの愛情に応えられない自分に疲れ、真は日本に帰る決心をするが、別れを告げに行ったアパートで真はついに透を犯してしまう。
その日のうちに姿を消した透と、自分を慕うチェックへ罪悪感に苛まれながら、真は日本に帰る。傷ついたチェックは、やがてゲイ・コミュニストのリューと結ばれ、2人で解放運動を続けるという困難な道を選ぶ。

それから2度目の秋、透が見つかったという連絡を受け、真は再びロンドンへ向かう。
病院で再会した透は、だが真を分からなかった。
永遠に透を喪失した真の元にチェックからリューの死を知らせる手紙が届く。愛する人を失いつつも、チェックは、これからもリューとの夢を育てていく決意を告げるのだった。


【書評】
率直にいえばリュー以外の登場人物はモラトリアムでしょう。真にしろ透にしろ、自己完結してしまった愛は奪うだけで発展することはありません。その視点からいくとチェックだけがモラトリアムから脱します。
チェックの愛は相手のすべてを受け止め、容認しようとする愛です。
「アホで卑猥で無教養」と真に罵られながらも、チェックはその苦悩さえ涙とともに呑み込もうとします。その純粋さゆえ、チェックはずたずたに引き裂かれながらも、愛に前向きなのでしょう。
リューの手助けもありますが、自己嫌悪の深いチェックが自分を愛するようになり、自分に自信を得て、そして人を愛したとき、その愛は相手をも成長させるのではないでしょうか。
自信に裏打ちされた愛は、たとえ理不尽な理由でリューを失っても終止符が打たれることはありません。与える愛は与得る愛でもあるのです。
しかし残念ながら真の愛は奪うだけでした。チェックを利用し、透から奪うことしかできなかった愛が真に残したものは喪失感だけだったのです。
一所に落ち着けず、風のようにしか生きられない透もまた、モラトリアムから逃れようとすることすら放棄した人間ではないでしょうか。彼が唯一愛したのは、11才で置き去りにした幼い日の真でした。
透が無条件に愛した対象は、真にとっては幻想でしかありません。
他ならぬ真によって破壊された透の愛は遂に現実と向き合うこともないまま、彼は自分の愛した頃の、幼い真の住む世界に閉じこもってしまいます。
それぞれの孤独な愛を冷厳と突き放した真の目で見つめつつも、精細に描かれています。


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■「グッバイ・ミスティ・ラブ」
■【【作者紹介】





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19:26  |  野村史子  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2002.01.08 (Tue)

「テイク・ラブ」野村史子

「あいつは何も恐れちゃいない。何にも縋っちゃいない。あいつ自身の魂だけだ。
  お前に愛されている、という、あいつ自身のな……」


初出1986年10月「小説JUNE」/1991年 角川スニーカー文庫
2007年10月 KAREN文庫 Mシリーズから復刻版。

【内容】
15年振りにエクアドルから戻ってきた山崎が、かつての恋人である春樹を探し求め、再会するまでを、過去と交錯しつつ描かれている。
大学紛争の只中に活動家の山崎と、男と寝ることで生きている15才の春樹は音楽を通して出会う。アンデスに憧憬しつつ、学生運動の闘争形態を模索する山崎は忙しさもあって、春樹を愛しながらもその魂の寂しさを理解していなかった。
ある日、山崎は逮捕される。やつあたりのように活動メンバーたちに吊るし上げられ、精神的にズタズタにされた春樹と、兄である山崎に肉親以上の感情を抱く礼子は、山崎を求める互いの寂しい心を寄せ合うように身体を重ねてしまう。ただ一度の情交で礼子は春樹の子供を身ごもってしまう。
絶望と葛藤の末、春樹は礼子を刺し殺してしまうが、礼子の命と引き換えに生まれたのが夏樹だった。

少年院送致となった春樹を許すこともできず、消耗しつくしていた山崎はすべてを放棄してエクアドルの解放戦線に身を投じるために出国する。春樹は自殺未遂の果てに精神を病んでしまうが、やがてピアノと夏樹の存在で辛うじて生に繋がっていた。
15年後の再会はまた、別れを意味していた。だが、春樹は危うい精神バランスのなかで、山崎の愛を力強く確信し、生きてゆく希望を見出すのである。

【書評】
作品を読んで最初に連想したのは、柴田翔氏の「されど我らが日々」でした(確か芥川賞受賞作品)。大学紛争という時代に翻弄される、傷ついた青春群像といった内容です。
その時代をセピア色の思い出と語りながら、若さ故の残酷さ、無情さを、清冽に描いているのが本書です。
山崎はすでに確固たる自我を持ち、将来の夢もしっかりと持っています。自分に厳しく、それ故、春樹に求めるものも二律背反の厳しさがあります。それは真の挫折を経験していないからこその強さであり、その強さは人の弱さに対して、残酷なほど鈍感にさせます。それ故、山崎は春樹の飢餓的孤独に気づくことが出来ません。理解できないといってもいいでしょう。
そして、山崎に愛されているという一点にのみ、自分の存在意義を求める春樹。出会いはすでに破滅の予感を孕んでいました。
事件の中核となる礼子は、自立した女性が台頭しつつあった時代背景を反映してします。彼女は強い女でありますが、女の残酷さを凝縮した存在として描かれています。
背徳を意識しつつ兄に恋心を抱き、兄の恋人の子供を身ごもることで勝者となった瞬間、運命は山崎に関っていた全ての人間を巻き込んで、不幸へと転がり落ちて行きます。

挫折感、罪悪感、空虚な自分、すべての感情を整理するためには15年という年月が、山崎には必要でした。若い自分を客観的に判断する目で、失ったものへの哀悲を淡々と見つめる山崎が、春樹に辿りつくのは運命の皮肉すら感じます。
それでも作者は、無条件の幸せを2人に与えません。
夏樹の父親を奪うことは、春樹と同じような愛情に飢えた子供を作ることにもなりかねないという試練を与えますが、何よりも危うい存在であったはずの春樹は、それを心地よく裏切ってくれます。
山崎の愛を確信することで、ただ息をしているだけのような生き方をしてきた彼に命が甦ったとき、はじめて春樹は自我を確立したと云えるでしょう。
ひたすら山崎だけを求めつづける春樹の純情と、そういう父を慕う夏樹の心理が切なく、泣かせます。いつか――夏樹が巣だったのち――春樹は山崎を追ってエクアドルに向かう日が来るのでしょうか。「テイク・ラブ」という、2人の思い出を凝縮した春樹のメインナンバーが、作品の余韻を醸し出しています。



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■【【作者紹介】


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2001.12.26 (Wed)

「レザナンス・コネクション―共・鳴・関・係―」野村史子

この二人は、触れあうこともなく交わっている……


初出1986年6月「小説JUNE」/1990年 角川スニーカー文庫

【内容】
高校2年の初夏、西日の差す美術室で西村陽子が垣間見たのは、「従兄のようなもの」と聞いていた中澤了と中澤真紀の秘めやかで官能的な一シーンだった。その瞬間、陽子は真紀に恋をした。
4年後、それぞれの道を歩みつつも3人の微妙な付き合いは続いていた。
真紀の目には了しか映らない。それと知りつつも、陽子は真紀を想い続ける。
真紀は焼却炉に捨てられ、生れ乍らに生きることを否定された子供だった。自分の殻にこもる真紀を引きずりだしたのが了だ。以来真紀にとって、了の全てを受け止めることが「生」の意味となる。

征服欲に満足していた了だが、やがて自分の中の戸惑いに気づく。
自分が投げつけるサディスティックな感情すらも、諾々と呑み込み、正確に反映させる真紀との関係に恐怖すら抱くようになる。
真紀との決別を決意して了はアメリカに渡る。再び殻にこもろうとする真紀を辛うじて踏み止まらせ、了を追わせるのは陽子だった。


【書評】
光と影のような了と真紀の関係を、西村陽子という狂言回しの目を通して描いています。
御曹司としていわゆる帝王学を叩き込まれた了は、自ら閉ざした世界で自虐だけが生存理由だった真紀にとって、庇護者であるとともに絶対者です。了は自分が真紀を愛していると自覚するとともに、恐怖を感じます。
それは絶対者である怖れと、了の感情――「俺の愛や、嫉妬や……惑乱を、あいつは正確に共鳴して、俺に返す」その波動に耐えられるかという自分への不安、そして共鳴する恐怖でした。
エピュキュリアンの仮面の下で、了はもがき苦しみつつ、真紀への思いのすべてを1枚の絵に封じ込めます。
その絵に込められたメッセージを正確に読み取ったのもまた、真紀だけでした。
生れ乍ら生きることを否定された真紀の深い孤独は、苦しいほどの切なさを感じます。そして真紀の中にある絶望的な闇を知りつつ、決別しようとする了の残酷なまでの冷静さは、実は自らも追い詰められた故の選択だったのです。了と真紀の均衡はあまりにも危うく、互いの孤独の影を深め、それでも惹かれあう苦悩が鮮明に迫ってきます。
一方的三角関係にある陽子は反発しつつも、実は2人の真の理解者であり、良い味を出しています。

この作品は個人的にはJUNEの最高傑作だと思っています。そして今、思い入れが強すぎると粗筋すら冷静に書けないことを知りました(笑)。


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■【【作者紹介】




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2001.12.25 (Tue)

野村史子(のむら ふみこ)

1986年6月『小説JUNE』にてデビュー。
独特の世界を構築し、読者から熱狂的な支持を得るも、作家活動の期間は3年と短い。
作品は一言でいえば、心も身体も痛い。野村氏はそれこそ必死な思いで、JUNEという分野に
何かを求めていたのではないかと、私は勝手な想像をしている。
それ故、衝撃的な作品を輩出した3年間を駆け抜け、卒業されたのではないかと。
リレー小説(?)『紫苑と綺羅』にも参加しているが、この方ほどお遊び的感覚で小説を書く作業が
似合わない人はいないだろう。



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