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2003.03.17 (Mon)

小川いら 「恋心」

人を好きになることが苦手だった。



大崎が京都で出会った、旅行中の美しく淋しげな青年。
人の温かさに飢えたような彼に惹かれ、大崎はその日のうちに彼を抱いてしまう。
名前も告げずに去った彼に再び会いたいと願うが、大崎には為すすべもなかった。
ところが、大崎が日本史の講師として招かれた大学で、2人は偶然再会する。
由岐也と名乗る青年は、大学内の図書館に勤めていたのだ。傷つくことを恐れ、
恋にためらう由岐也に、大崎は優しく想いを伝え続ける。
いつしか由岐也は再び恋に心を開き始めて…。静かでありながら、激しく切ない大人の恋物語。



今市子さんだ! で手に取ったイラスト買い(笑)。もちろんイラストは作品の中身を象徴している
わけで、絵描きさんと作者と読者の趣味が一致すると、当然満足度が高くなる。そして今回は
当たりだった。

大人のふたりの恋だから、がむしゃらさはない。互いを気遣いながら、でも心の奥には深い
情熱がある。
激しい出会い、そして名前も告げずに別れるも、大崎いわく「運命の粋なはからい」で再会し、
少しずつ心の距離を縮めていく…という、昔から何度となく使われてきたシチュエーションなのだが、
切なさが滲みでる静かな空気がとても心地よい。

恋愛小説は「ふたりの世界」に溺れるにも、その恋のあり方に読者を問答無用で巻き込めるか、
納得させられるか、そしてそこにあるはずの葛藤などが浸透していく時間が必要だ。
その部分をいかに描くかで、作品を濃くも薄くもする。本作はさらりと淡白な物語だが、
キャラクターの造形と、彼らが積み重ねていく情感の細やかな描写がこの作品を引き締めている。
そういう意味では、かわい有美子氏の『上海金魚』が連想された。

偶然が作用するエピソードが続くことが気になるところだが、出会いは偶然だとしても、
関係を続け深めていく力をもたらすのは、積極的な情熱なのだろう。誰かに愛されること、
誰かの温もりを安心して信じられること。それは恋に臆病になっている心に深く響くキーワードだ。
この作品はその切なさをじんわり描くから、激しくて優しい気持ちで満ちている。


恋心 (アクアノベルズ)
恋心 (アクアノベルズ)




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テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

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