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2002.11.03 (Sun)

小沢淳「ムーン・ファイアー・ストーン」

正式名称は『テイルズ・フロム・サード・ムーン』

内容
通称「金銀シリーズ」、「金銀諸国漫遊記」と呼ばれている。
世界はかつて三つの月を持っていた、しかし今では黄金と白銀の二つの月しか持たない。
この地を旅する、金髪のリューと銀の髪を持つエリアードの二人の青年がこの物語の
主人公である。その失われた第三の月こそが、彼らの生まれた地であった。
このシリーズでは長編・短編を織り混ぜ、月のごとき美貌の二人が旅先で出会う様々な
出来事を綴った耽美系ファンタジーシリーズ……ヒロイニックではないと思う。

書評
ティーンズ向けだからというわけではないが(ティーンズも侮れない昨今)さらりと、
葛藤なく読める諸国漫遊記(笑)。
実は、この作品はJUNEという意味ではなく、JUNE史という意味で果たした役割が
かなり大きい気がするので紹介させていただく。

明るくて綺麗でリアリティは一切ないホモセクシュアルを、堂々と少女向け小説で書いて
しまったことで、当時、いわゆる耽美といわれていたジャンルを当たり前のBLという意匠に
押し上げてしまった作品である。
榊原姿保美氏などが「JUNE」の中で暗くひっそりと(笑)やっていたものを、
白日の下にさらけ出し、一般的(メジャー)なものにしたわけで、この作品のヒットにより、
その後耽美物中心の角川ルビー文庫まで誕生させたといって過言ではない。

当時から美少年同士の絡みは確かに少女たちに受けていたけれど、アナル・セックスの
描写まで出てくるジュヴナイル小説はこれまでなかった。
もちろん作品には男同士の激しいセックスシーンはないものの、「同性愛はアブノーマル」という
葛藤はみられる。
ある意味で革新的ではあったけど、現状を考えると、こうまであらか様になったのでは
少々面白くないと感じるのは、たぶんかつてのJUNEファンではなかろうか。
そういう意味で分岐点的作品なのであり、当時、耽美系には珍しかった伸びやかな明朗さが
新鮮で私自身は好きな作品だった(じゃなければ全巻読んでないって)。

余談であるが、悩んだのは、一般的には女性的容姿のエリアードが「受」で、
基本的に女好きなリューが「攻」だと思うのだが、物語が進むにつれ、
文脈の微妙な言い回しからはどう考えても「逆」のように受け取れてしまうことだった。
もしかしたらリバーシブルだったのか?
だとしたら、その意味でも革新的だったかもしれない(笑)。

【シリーズ作品リスト】
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テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

16:01  |  小沢淳  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2002.11.03 (Sun)

小沢淳(おざわ じゅん)

[作者略歴]
196x年生まれ。天秤座。A型。趣味は野球観戦、TVゲーム。
1991年 金と銀の旅(ムーン・ファイアー・ストーン1)でデビュー。
少女向け小説ということでさらりと読みやすい文体だったが、次作品『千年王国ラレン
ティアの物語』シリーズ(角川スニーカー文庫)では雰囲気が変わっていて驚いた思
い出が…(笑)。
ジャンルとしてはファンタジーだが、ミステリタッチの作品もある。
代表作として『ムーン・ファイアー・ストーン』『ラレンティア』『アキラ・プラーナ』各シリー
ズなど。

15:09  |  小沢淳  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
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