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2009.04.01 (Wed)

「弔愛―群れなす天使の歌声に」「弔愛―甘美な悪魔の囁きに」鳩村衣杏

「群れなす天使の歌声に」が続いているということなので、
「甘美な悪魔の囁きに」が発行されるのを待って、まとめて読みました。
鳩村衣杏さんらしからぬハードボイルド(風)な作品。

弔愛―群れなす天使の歌声に (ガッシュ文庫)「弔愛―群れなす天使の歌声に」
「弔愛―甘美な悪魔の囁きに」
鳩村 衣杏
海王社 (ガッシュ文庫)
弔愛―甘美な悪魔の囁きに (ガッシュ文庫)
by G-Tools

合言葉は「『天使の群れ』をウォッカで」――私立探偵の城上は、亡き親友の遺言で生き別れた彼の弟を捜すことになった。彼が死の間際に遺した三枚の写真と「天使の群れ」という言葉を追い、たどり着いたのは「ユーフォリア」。バーテンダーの憂里は、男を惑わす謎めいた笑みを浮かべ、「天使の群れ」というカクテルを出した。
淫蕩に甘く、酩酊を誘う憂里に城上はある衝動を覚える。―この男を壊したい。
夜の果て、男達のサスペンス・ラブ。


鳩村衣杏さんは私の好きな作家さんのひとりである。
おそらく単行本や文庫になっているものは全部読んでいると思う。
でも本書は、読み始めてまず、ひとつの試練を感じてしまった。たぶん鳩村作品を読んできた人なら、多かれ少なかれ、導入部のバーの描写で面食らうんじゃあるまいか。
ハードボイルドを目指したのは分かるのだけど、なんだか妙に古めかしい表現で、なんとも居心地悪いというか気恥ずかしいというか……。
いったい何を読んだんだ、 鳩村さん?!

主人公の城上は刑事くずれの探偵。
親に捨てられ、施設に放り込まれた子供時代のトラウマを引き摺り、身の内に暴力衝動を抱えている。その暴力衝動は自身の破滅を望むかのような危うさだ。
なんとも不安を感じさせる湿気っぽい男ではないか。

城上が唯一執着を持つのが、同じ施設育ちで麻薬取締官の一之瀬稔だった。その彼も一年前に事故死している。城上に残された、保険金と三枚の写真と葡萄十字と呼ばれるクロス、そして「天使の群れ」と書かれたユーフォリアというバーのカード。
その願いを察した城上は一之瀬の「弟」を捜すためにユーフォリアを訪れ、バーテンダーの憂里と出会うのだが、この憂里の背負うものが半端じゃなく重い。
ロシアン・マフィアと日本のヤクザ組織と製薬会社と麻薬密売が入り乱れて、憂里をがんじからめに縛り付けている。
だが、憂里に悲壮感はない。男に身体を与えながらも、自分を取り巻く状況を冷徹に見据え、保身を図るしたたかさがいい。

天使編だけでは、城上と憂里が互いに惹かれあうわけが分からないし、殺伐とした感情ばかりが目立つような気がするので、ぜひ悪魔編まで一気に読むことをお薦め。
ここまで絡み合った裏事情に、いかに決着をつけていくのか――。

傍観者の視点でしか自分の生き方を見られなかった憂里が、城上に恋をして鮮やかに変わっていく細やかな描写は、さすが鳩村さん、といったところ。
ただ、情緒的な雰囲気はほとんど感じられないので、鳩村作品らしい、ほっと温もるような読後感を求めるとキツイかなー。
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テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

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