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2001.12.26 (Wed)

「レザナンス・コネクション―共・鳴・関・係―」野村史子

この二人は、触れあうこともなく交わっている……


初出1986年6月「小説JUNE」/1990年 角川スニーカー文庫

【内容】
高校2年の初夏、西日の差す美術室で西村陽子が垣間見たのは、「従兄のようなもの」と聞いていた中澤了と中澤真紀の秘めやかで官能的な一シーンだった。その瞬間、陽子は真紀に恋をした。
4年後、それぞれの道を歩みつつも3人の微妙な付き合いは続いていた。
真紀の目には了しか映らない。それと知りつつも、陽子は真紀を想い続ける。
真紀は焼却炉に捨てられ、生れ乍らに生きることを否定された子供だった。自分の殻にこもる真紀を引きずりだしたのが了だ。以来真紀にとって、了の全てを受け止めることが「生」の意味となる。

征服欲に満足していた了だが、やがて自分の中の戸惑いに気づく。
自分が投げつけるサディスティックな感情すらも、諾々と呑み込み、正確に反映させる真紀との関係に恐怖すら抱くようになる。
真紀との決別を決意して了はアメリカに渡る。再び殻にこもろうとする真紀を辛うじて踏み止まらせ、了を追わせるのは陽子だった。


【書評】
光と影のような了と真紀の関係を、西村陽子という狂言回しの目を通して描いています。
御曹司としていわゆる帝王学を叩き込まれた了は、自ら閉ざした世界で自虐だけが生存理由だった真紀にとって、庇護者であるとともに絶対者です。了は自分が真紀を愛していると自覚するとともに、恐怖を感じます。
それは絶対者である怖れと、了の感情――「俺の愛や、嫉妬や……惑乱を、あいつは正確に共鳴して、俺に返す」その波動に耐えられるかという自分への不安、そして共鳴する恐怖でした。
エピュキュリアンの仮面の下で、了はもがき苦しみつつ、真紀への思いのすべてを1枚の絵に封じ込めます。
その絵に込められたメッセージを正確に読み取ったのもまた、真紀だけでした。
生れ乍ら生きることを否定された真紀の深い孤独は、苦しいほどの切なさを感じます。そして真紀の中にある絶望的な闇を知りつつ、決別しようとする了の残酷なまでの冷静さは、実は自らも追い詰められた故の選択だったのです。了と真紀の均衡はあまりにも危うく、互いの孤独の影を深め、それでも惹かれあう苦悩が鮮明に迫ってきます。
一方的三角関係にある陽子は反発しつつも、実は2人の真の理解者であり、良い味を出しています。

この作品は個人的にはJUNEの最高傑作だと思っています。そして今、思い入れが強すぎると粗筋すら冷静に書けないことを知りました(笑)。


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■【【作者紹介】




*この記事は website【CAFE唯我独尊】から移行しました。

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19:05  |  野村史子  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2001.12.25 (Tue)

野村史子(のむら ふみこ)

1986年6月『小説JUNE』にてデビュー。
独特の世界を構築し、読者から熱狂的な支持を得るも、作家活動の期間は3年と短い。
作品は一言でいえば、心も身体も痛い。野村氏はそれこそ必死な思いで、JUNEという分野に
何かを求めていたのではないかと、私は勝手な想像をしている。
それ故、衝撃的な作品を輩出した3年間を駆け抜け、卒業されたのではないかと。
リレー小説(?)『紫苑と綺羅』にも参加しているが、この方ほどお遊び的感覚で小説を書く作業が
似合わない人はいないだろう。



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■【【作者紹介】



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