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2002.09.12 (Thu)

「鬼神の血脈」榊原姿保美(榊原史保美)

1988年 TENZAN NOVELS 後に角川文庫

文楽界の御曹司、松上九四郎がホテルの一室で刺殺された。現場には「オニ」という血文字が残されていた。刑事の片平壮介ら警察の捜査で、死んだ家元から才能を見込まれていた内弟子である久竹澄生の存在が浮かび上がる。
一方、壮介の双子の兄でオカルト雑誌記者の成見有介は、大分県国東半島の山中にある集落を取材するうちに鬼神の末裔を称する百目鬼(どうめき)一族と、かつて謀略をめぐらして彼らから権力を奪った鐘ヶ崎一族との間で繰り広げられる闘争に巻き込まれてゆく。
文楽界の跡目争い、一族同士の確執、闇将軍と呼ばれる大物フィクサーなどなどの人間関係が複雑に入り乱れ、事態は混沌の様をみせる。

現世の欲望と神秘なるものへの渇望が絡み合い、次第に浮かび上がってくるのは、魔性の美少年、澄生の過去にまつわる謎と、壮介、有介兄弟の血に潜む秘密であった。
事件の捜査が続く前半は少々地味だが、それも凄絶な終盤への前奏である。
血塗られた因縁話、性の享楽によって肌に浮かぶ鬼の刺青、地底の牢獄――妖異な趣向がたっぷりと用意され、伝奇ミステリならではの醍醐味がある。
『龍神沼綺譚』が泉鏡花風なら、『鬼神の血脈』は横溝正史と赤江瀑を混ぜて、耽美趣味を溶かし込んだ雰囲気、といったらいいだろうか。
この作品を双子ホモの話と言い切ったものを読んだことがあるが、デビュー以来、榊原氏のテーマは魂の救済にある。エンタティメント溢れるこの作品でも、それは真摯に追求されていると私は思う。


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テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

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