2003年11月 / 10月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫01月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2003.11.19 (Wed)

「私説三国志 天の華・地の風 五」 江森備

――君、かれを愛さざるや――



劉備の遺詔によって国権を総覧した孔明は、皇太子・劉禅を立て皇帝とし、成都丞相府を
足場に諸政刷新に乗り出す。
疲弊した財政経済を立て直すのは2~3年かかると言われる大仕事だ。
その財政再建の合間にも、孔明は密かに南にも手を回す。
3年前、劉備が在世で呉に大敗した頃に起きた南中での蛮族の乱が未だ完全に平定されて
いなかったのだ。
劉備の死後、呉との関係は修復され、改めて孔明が呉の手の引いた南中を平定べく進軍する。
孔明は、既に反乱軍の主だった顔ぶれの内に内訌の種を吹き込み、疑心暗鬼に陥らせ、
そのあらかた討ちとることに成功。
残る敵は一番人望が厚いと言われている南蛮王・猛獲の軍のみ。
しかし魏延や趙雲らと共に猛獲の陣に夜襲をかけた際、相手の奇襲により孔明は谷底に墜落、
猛獲軍に捕虜として捕らえられてしまう。

2巻で姿を消した女細作フェイメイが猛獲の情婦・阿詩瑪(あしま)として登場。
彼女の手を借り、孔明は瀕死のうちから救出される。
猛獲軍は幾度となく進攻するが、情勢は孔明率いる蜀軍に有利に進みつつあった。

そんな折、孔明に窮地を救われて細作見習いとなった少年・汝秀の密告で、
猛獲にフェイメイの正体が露見。救出されたものの、フェイメイは猛獲の知らぬところで、
彼の正夫人・祝融とその弟によって残忍な折檻を受けていた――。


孔明が、己の立てた作戦に嵌って死にゆく敵兵の地獄絵を見つめ続けるシーンは圧巻。
孔明は血の気のない指で魏延の手を固く握りしめる。

   魏延はもう片方の手を、そっと上にかさねた。

この1シーンで魏延は男の株をぐんと上げたに違いない。
手酷い目に合うものの、おそらくこの「五巻」が孔明にとって我が世の春――権力を手中に収め、
また、魏延との愛を育み(笑)幸せだったと思う。



*この記事は website【CAFE唯我独尊】から移行したものです。

スポンサーサイト

テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

00:39  |  江森 備  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2003.11.18 (Tue)

「私説三国志 天の華・地の風 四」 江森備

私は私の息などしてこなかった。


病と称して引きこもっていた孔明が火急の用件で劉備の前に伺候した日、
折りしも関中攻めの軍議が行われようとしていた。
軍師座には法正が座っていた。法正は孔明がいない間に事を進めようとしていたのだ。
孔明の一言でその計画は頓挫するも、法正は着々と劉備に取り入っていた。
孔明は魏延に弱みを握られていることもあり、ホウ統が重用されていた時と同じような立場に
追い込まれる。
しかし、その頃から魏延の態度が少しずつ変化してゆく。彼は孔明に魅了されつつあったのだ。

蜀の水面下では陰謀と策略が渦巻いていた。内憂外患に心を砕く孔明だが、そんな折、
荊州にいた関羽が呉によって無残な最期を遂げる。
そしてまた、流行病によって法正が病死。劉備は義弟の仇討ちのために、孔明はじめ
重臣たちの諫言も聞かずに呉の征討を命ずる。
計略と情義のはざまで苦悩する孔明だが、覚悟をきめ、劉備を諌めようとするが、
逆に周瑜との関係を持ち出されて無残にもますます遠ざけられてしまう。
国家のために孔明は策略を張り巡らせ――やがて劉備死す。

孔明の思慕はついに劉備に理解されず、孔明はつぶやく。

   陛下の許で、私は一度として人としてあつかわれたことはない。

魏延は、そんな孔明を畏怖しながら、彼を「かなしい」と思う。
魏延が孔明の理解者となっていくのが救いだ。(2003/10/21記)


*この記事はwebsite【CAFE唯我独尊】から移行しました。

テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

23:40  |  江森 備  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2003.11.18 (Tue)

「私説三国志 天の華・地の風 三」 江森 備

これは、血で汚れているのだ。



ホウ統亡き後、劉璋の家臣だった法正が頭角を現わす。
法正は劉璋を裏切って蜀に来たにも関わらず、次第にその存在は大きくなり、
ついには蜀軍太守、揚武将軍に任命される。
しかし孔明は、裏切り者は再び裏切るという信念から、法正陣営を切り崩すために
魏延を取り込む手段を模索する。
その一方で、孔明は国家を安定させるために政務の合間を縫って、
紡織産業を定着させるべく、織成技術の向上に情熱を傾ける。

だが孔明は、自分の側に取り込んでいた筈の歌姫・香蝉により、魏延に性癖を知られてしまう。
香蝉の本名は燕郎といい、かつて魏延の枕侍童を務めていたのだ。
魏延は孔明を服従させるために関係を強要する。

「赤眉」を名乗る暗殺集団に狙われることになったり、
実弟・諸葛均が曹操側の間諜であることを知りつつ利用するために泳がせたり、
細部に巡らせる策略など、孔明は冷徹で冷酷でさえある。それゆえ孔明は
孤独であらねばならないのかもしれない。
しかし、孔明の命運を握る「性格も考え方も、最も高慢で陰惨」な魏延だが、
彼もまた孔明の計略に嵌ったともいえる。

ところで、関羽の妻として登場する貂蝉を筆頭にして、蜀の地に一大紡織産業を興すシーンがある。
あまり知られていないけど、これは史実(貂蝉はでない)。
後に「蜀錦」は魏や呉でも貴重品として高く売買されるようになる。
このあたりにも江森氏の並々ならぬこだわりが垣間見える。(2003/11/18記)


「天の華・地の風3」 (fukkan.com)
天の華・地の風3 (fukkan.com) (fukkan.com) 江森備











【関連ページ】
■ 私説三国志 天の華・地の風 (シリーズ書評)へ。

*この記事は website【CAFE唯我独尊】から移行したものです。

テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

23:28  |  江森 備  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。