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2004.10.28 (Thu)

「完全版 虹の麗人」山藍紫姫子

「…わたしは、出来損ないのヘルマフロディテだから……」


1995年6月 コアマガジン(初出 1992年 白夜書房)

私が初めて触れた山藍作品だけに印象深く、また、数年ぶりに再読しても充分楽しめた。
「ちょっぴりハードでスリリングな恋を夢見る貴女のための」男同士のハーレクインを書くという
企画で書かれた作品で、同人誌で発表された。尚、同企画には『冬の星座』『アレキサンドラ
イト』がある。

4776792656イリス 虹の麗人
山藍 紫姫子
宙出版 2006-01-26

by G-Tools


研究所で働くイリスは、その身体の秘密ゆえ、人を殺してしまった過去を持つ。両性具有の
性のために両親からも否定され、心に深い傷を抱えるイリスは、頑なに心を閉ざす事で自分
を守ってきた。後見人であるクラーク・ダリ伯爵はイリスの立場とその心を心配し、自分のこと
ろに来ないかと申し出る。しかし、生態学研究所の所長という肩書きを持つクラーク・ダリにま
つわる忌わしい噂ゆえに、イリスは彼を警戒し、怖れてさえいた。
だが、その身体の秘密を知る男の出現でイリスは追い詰められ、悩みぬいた末に、クラーク・
ダリ伯爵の申し出を受け入れる。
研究所に連れて行かれるはずのイリスは、クラーク・ダリの居城に迎えられる。戸惑い、慄き
ながら、イリスはクラーク・ダリによって愛することに目覚めていく。

【書評】
広大な城、天蓋付きベッドや四つ脚のついた陶器のバスタブ、レースやシルクのナイトウェア
といった美しいシチュエーションが、耽美…というか、ハーレクインなのだろうな。ハーレクイン
はほとんど読んだことがないのでその定義がよく分からないのだが(汗)。

両性具有という異形の身体を嫌悪するイリスが、クラーク・ダリによってゆっくりと自分の性を
受け入れていく。その過程が、妙に健気なのだ
「男性」として必死に生きてきたイリスにとって、自分の中の「女性」を忌まわしいものでしか
ない。自分自身の性すら受け入れられないイリスには、性的な行為は恐怖でしかない。
だが、それを強要された身体は悦楽に惑乱し、イリスは頑なな心と、悦楽に溺れる身体との
間で戸惑い、恐れる。イリスが受ける衝撃や怯え、そして決して認めたくない甘やかな心の
震えが伝わってくる。やがてイリスは、クラークを受け入れ、「愛されている」自分自身をも受
け入れていく――愛は偉大だ(笑)。

互いが言葉足らずだったり不器用さゆえ、誤解が誤解を招いてしまうあたり、もどかしいのだ
が、そこがミステアスな雰囲気を醸しているように思う。現在では両性具有で生まれた場合、
手術によって性を定められるし、他にも気になることもあるのだけど、それは読み終わって、
頭が冷静になってからのこと(笑)。ぐいぐい物語世界に引き込んでいくあたりは、さすがだ。
(山藍さんにしては)ハードな行為はないが、うっとりとエロティズムに酔える。

2000年11月に『虹の麗人―イリス』 としてバニラ新書(コアマガジン)から、安曇もかさんのイ
ラストに変更して再販されている。リニューアル版の安曇もかさんの絵は玲瓏な美女で、前の
春日聖生さんのイリスは可憐なイメージ。私の中ではすでに春日聖生さんのイラストでインプッ
トされているのだけど、イラストの印象でその性格も全く違って見えるのが面白い。

補足:2006年、宙出版より「イリス-虹の麗人」再販。


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