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2009.04.30 (Thu)

「愛するということ」谷崎泉

永遠に行き場のなくなってしまった恋情に、新しい恋を上書きできるか?

4044544026愛するということ (角川ルビー文庫)
谷崎 泉
角川グループパブリッシング 2009-05-01

by G-Tools

デザイナーの壱は、仕事先で今は亡き恋人と同じ声を持つ大企業の社長・灰田に出会う。驚く壱だったが、声以外は似ても似つかない不遜な態度の灰田になぜか気に入られてしまう。人の気も知らずに迫る灰田を邪険にしつつも、灰田の声の昔の恋人を思い出し不覚にも泣いてしまった壱は、強引だけれど優しい灰田の温もりに、体をまかせてしまい…!?「すまないが、お前を諦める気はない」美貌のセレブ×勝ち気なデザイナーのアダルト・ラブ。



谷崎さんのリーマン物は、つくづくワーカーホリックな登場人物が多い。
この小説でも、才能豊かなデザイナー壱(いち)の事務所は、零細だからこそ多忙を極めている。
いつもながら、登場人物は多いし個性的。そして、しっかり酷使されている(笑)。

出会った男は顔も性格も違うのに、声だけが事故で失った恋人と重なってしまう。
耳にする度に、恋人を思い出してしまう息苦しさ。
未だに恋人の死と向き合えない壱が、その声にどうしようもなく流されてしまう様が痛々しくて、
読んでいるこちらまでやるせない気持ちになってしまう。
ゆっくりと、少しずつ歩み寄って、愛を育ててほしいと願いたくなる。

ボロボロの壱を見守る周囲の視線の温かさが、谷崎さんらしくてほっ。
続編がすごく楽しみ。
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テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

16:17  |  谷崎 泉  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2009.04.30 (Thu)

アホかもしれない

ブログデータのバックアップをしておくかー、
ついでにPCの整理もしておこう……なんて思い立ったのがいけなかった。
PCに、以前ブログを引っ越したときのデータらしきものが残っていて、
「インポートしたら、ブログがひとつにまとまって楽なんじゃない?」
なんて、あまり深く考えずにやっちゃったら、
(記事はともかく)コメントとトラックバックの順番がぐちゃくちゃになってしまった……。

嗚呼……。

そうだよ。
前にもこれで失敗したじゃないか、私っ。

私って、つくづくアホだ……(涙)。

とついわけで、プラグインの中のコメントとトラックバックの日時がぐちゃら~になっています。

――見逃してくだされ

15:01  |  本の徒然  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2009.04.27 (Mon)

「明日も愛してる」安芸まくら

「…おやすみ、櫂。また明日な…」


読了したのは去年のことなのだけど、皮膚の表面がざわつくような、
読後感がなんだか定まらなくて保留していた作品。
今回じっくり再読して、あらためて泣けました。

4883863549明日も愛してる (Holly NOVELS)
深井 結己
蒼竜社 2008-08-04

by G-Tools


朝、櫂は知らない部屋のベッドで目が覚めた。ついさっき、眠りにつくまで櫂は十八歳だった。しかし窓に映る自分の姿は、どう見ても高校生には見えないほどくたびれていた。「現在のおまえの年齢は35歳」…枕元に置かれたファイルにはそう書かれていた。戸惑う櫂の前に現れたのは、ツダと名乗る見知らぬ男だった。男に自分の「ハウスキーパー」だと告げられた櫂は驚くが…。―永遠に繰り返されるせつなく甘い愛の物語。


記憶から消されてしまうことは、存在の喪失だという。
恋人であったことさえ忘れられ、日に何度も存在をリセットされ続けているということは、
その度に自身の存在を否定され、あるいは小さな死を与えられるようなものだ。
それでも津田は櫂の側に居続けている。
少しずつ記憶を保つ時間が短くなっていく櫂を、津田はどんな思いで見つめたのか。

恋人に対して津田は日に何十回も自己紹介をしなければならない。
そんな日々を、彼は何年も続けてきたのだ。
永遠に足元が定まらないもどかしさに苦悩する櫂を支えながら、
どれほどの苦しみに津田は突き落とされ続けたのだろう。
恋人同士としての甘やかな記憶も、共に過ごしたであろう共通の時間や体験もなくし、
日々忘却されるだけの残酷。

しかし、これは優しいラブストーリーでもある。
毎日、何度でも二人は恋におちる。
消えゆく記憶の深奥には、確かに恋する心がもどかしくも垣間見える。
付き合って九年、と津田は言った。事故がおきたのが五年前だから、
既に事故った後の櫂との付き合いのほうが長いことになる。
事象は積み重ねられていくが、ストーリーが櫂の視点で進行するため、
真実は最後まではっきりと明かされない。だが、描かれぬゆえにしっとりと心に余韻が落ちる。

ラスト近く、櫂が自分の記憶の部屋を探索し、一瞬だけ事故前の自分に戻り、
ほんの僅かの時間、津田と会話するシーンがなんとも切なくて印象的。

実は「記憶を保てない男」のストーリーということで、
『博士の愛した数式』を連想して身構えていたのだが、
恋愛小説としてはよくまとまっているのではないだろうか。

最後の津田の言葉、
「…おやすみ、櫂。また明日な…」
いきなり泣けてしまった…。
残酷で優しいラブストーリーだ。





テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

19:12  |  安芸まくら  |  TB(2)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2009.04.21 (Tue)

赤江 瀑[作者略歴]

赤江 瀑(あかえ ばく)
昭和8年(1933) 下関生まれ。日本大学演劇科卒(中退としている文献もあり)
昭和45年「ニジンスキーの手」で小説現代新人賞受賞。
昭和48年「罪喰い」、昭和50年「金環食の影飾り」で直木賞候補。
昭和59年「八雲が殺した」「海峡」で第十二回泉鏡花賞受賞。

赤江瀑の作品に共通するのは執着だろうか。内面には常に不安が付きまとい、不安というものだけにもの心がついてまわる。それゆえ、誰かを求め、反発しつつも執着してしまう。
その「誰か」には甘さも優しさもなく、逃避、拒絶の姿勢をとらせる。不安へのたかまりに、次第に追いつめられ、狂気にも似た執着に結びつく。さらに追いつめられる結果が提示されると、薄ら寒さを覚える。それなのに人間の哀しみとおかしみが表裏となって、文章の背後からおいで、おいでと手招きしている感じで、なんとも魅惑的なのだ。

その内面描写などでもかなりJUNEちっくなのだけど、付け加えるなら、とにかく魅力的な殿方が登場する。肉体的な絡みがあるわけではないが、決して女には入り込めない、男たちの緊張感を孕んだ関係がなんとも淫靡。プラトニックなのにエロティックで……。
なんだろう、この味わい……。はまる人はずっぽりはまっちゃうんだよねー、赤江瀑に。


■ オイディプスの刃
■ 獣林寺妖変

テーマ : ブックレビュー - ジャンル : 本・雑誌

12:18  |  赤江 瀑  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2009.04.01 (Wed)

「弔愛―群れなす天使の歌声に」「弔愛―甘美な悪魔の囁きに」鳩村衣杏

「群れなす天使の歌声に」が続いているということなので、
「甘美な悪魔の囁きに」が発行されるのを待って、まとめて読みました。
鳩村衣杏さんらしからぬハードボイルド(風)な作品。

弔愛―群れなす天使の歌声に (ガッシュ文庫)「弔愛―群れなす天使の歌声に」
「弔愛―甘美な悪魔の囁きに」
鳩村 衣杏
海王社 (ガッシュ文庫)
弔愛―甘美な悪魔の囁きに (ガッシュ文庫)
by G-Tools

合言葉は「『天使の群れ』をウォッカで」――私立探偵の城上は、亡き親友の遺言で生き別れた彼の弟を捜すことになった。彼が死の間際に遺した三枚の写真と「天使の群れ」という言葉を追い、たどり着いたのは「ユーフォリア」。バーテンダーの憂里は、男を惑わす謎めいた笑みを浮かべ、「天使の群れ」というカクテルを出した。
淫蕩に甘く、酩酊を誘う憂里に城上はある衝動を覚える。―この男を壊したい。
夜の果て、男達のサスペンス・ラブ。


鳩村衣杏さんは私の好きな作家さんのひとりである。
おそらく単行本や文庫になっているものは全部読んでいると思う。
でも本書は、読み始めてまず、ひとつの試練を感じてしまった。たぶん鳩村作品を読んできた人なら、多かれ少なかれ、導入部のバーの描写で面食らうんじゃあるまいか。
ハードボイルドを目指したのは分かるのだけど、なんだか妙に古めかしい表現で、なんとも居心地悪いというか気恥ずかしいというか……。
いったい何を読んだんだ、 鳩村さん?!

主人公の城上は刑事くずれの探偵。
親に捨てられ、施設に放り込まれた子供時代のトラウマを引き摺り、身の内に暴力衝動を抱えている。その暴力衝動は自身の破滅を望むかのような危うさだ。
なんとも不安を感じさせる湿気っぽい男ではないか。

城上が唯一執着を持つのが、同じ施設育ちで麻薬取締官の一之瀬稔だった。その彼も一年前に事故死している。城上に残された、保険金と三枚の写真と葡萄十字と呼ばれるクロス、そして「天使の群れ」と書かれたユーフォリアというバーのカード。
その願いを察した城上は一之瀬の「弟」を捜すためにユーフォリアを訪れ、バーテンダーの憂里と出会うのだが、この憂里の背負うものが半端じゃなく重い。
ロシアン・マフィアと日本のヤクザ組織と製薬会社と麻薬密売が入り乱れて、憂里をがんじからめに縛り付けている。
だが、憂里に悲壮感はない。男に身体を与えながらも、自分を取り巻く状況を冷徹に見据え、保身を図るしたたかさがいい。

天使編だけでは、城上と憂里が互いに惹かれあうわけが分からないし、殺伐とした感情ばかりが目立つような気がするので、ぜひ悪魔編まで一気に読むことをお薦め。
ここまで絡み合った裏事情に、いかに決着をつけていくのか――。

傍観者の視点でしか自分の生き方を見られなかった憂里が、城上に恋をして鮮やかに変わっていく細やかな描写は、さすが鳩村さん、といったところ。
ただ、情緒的な雰囲気はほとんど感じられないので、鳩村作品らしい、ほっと温もるような読後感を求めるとキツイかなー。

テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

19:23  |  鳩村衣杏  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
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