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2003.10.21 (Tue)

「私説三国志 天の華・地の風 一」 江森 備

わたくしは、蛇です。



三国志「赤壁の戦い」直前の頃。孔明が女細作(しのび)であるフェイ[非<木]妹(フェイメイ)に、
大都督・周瑜の元からある物を盗み出すことを依頼するところから物語は始まる。

蜀の若き軍師・諸葛孔明は、呉と同盟を結び、魏と戦うべく、
劉備の使者として呉に単身乗りこんだ。孫権をその気にさせるのには成功したものの、
ある理由から人質同然に呉に留め置かれる。
実は20年前、孔明がまだ10歳の頃、彼は相国薫卓の枕侍童として使えていた。
その折、薫卓のお抱えの画師によって仕女図や侍童図、閨房図が描かれていた。
薫卓が誅された時に城と共に灰になったはずのそれらの画が周瑜の手に渡っており、
それを盾に呉に仕えるか、服従するかの選択を迫られる。
画を公開される事は、孔明にとって開き始めた天下への道を閉ざされることである。
劉備を裏切ることもできない。服従の証として、孔明は周瑜に関係を強要される。
やがて周瑜は孔明に執着を深め、孔明も周瑜に惹かれ、心を乱しつつも、
劉備の、そして己の野望のためにある暗い決意をする。
周瑜公瑾との愛を捨てて、その決意をするシーンは泣ける。


私説三国志 天の華・地の風 1巻 (fukkan.com) 私説三国志 天の華・地の風 1巻 (fukkan.com)
 (2007/6/29)
 江森備(えもり そなえ)
 








【関連ページ】
■ 私説三国志 天の華・地の風 (シリーズ書評)

【More・・・】

補足として、義理と人情――「三顧の礼」で迎えられ、
「水魚の交わり」といわれるほどの親密な交わりがあるとはいえ、
己を投げうってまで、なぜ孔明は求めてやまない周瑜の「愛」を振り捨て、
劉備の元に残るのかが少し分りにくいかもしれない。
その理由は、本シリーズ未収録の短編『桃始笑』にあったと思う。

現在手元に本がないので少し怪しいのだが、子供の頃に無残な陵辱を受け、
人間不信を拭い去れない孔明だが、劉備が求めているのが肉欲ではなく、
自分の知性と才知であることに安堵し、感動すら覚え、劉備に仕えるまでを描いている。
つまり孔明はそれほどに孤独だったのだ。
自分を認めてくれたという感動から、孔明は劉備にプラトニックな想いを寄せていく。
このシリーズはそのあたりから始まっている。
残念ながら、『桃始笑』は「JUNE全集 第10巻/短編小説傑作集」に収録されているのみ。
もちろんこのシリーズだけでもその心の機微は分るが、
復刻されることがあればぜひ収録して欲しい。(2003/10/21記)

【追記】2007年の復刊版には、以前光風社出版から発刊された全9巻の内容に加え、
シリーズの元になった投稿作「桃始笑」及び、
アンソロジーに収録された「死者たちの昏き迷宮」の二篇を収録しているとのことです。



*この記事は website【CAFE唯我独尊】から移行したものです。

テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

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