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2008.08.29 (Fri)

「今、風が梢を渡る時(前・後編)」 かわい有美子

旧制高校に学ぶ学生たちの背景となっている時代を反映した、自由ではあるが節度ある野放図が、
なんともよい雰囲気。

4094212345  「今、風が梢を渡る時〈前編〉」 (パレット文庫)
  かわい 有美子
  小学館 2002-08



前・2002年09月/後・2002年11月 パレット文庫 小学館
内容(「BOOK」データベースより)
前編→大正時代。寒村の小作農の四男・沢良木犀は、京都帝国大学の予科・第三高等学校に
入学した。医者になる事を条件に村長の養子となった犀は、義母・義兄に辛くあたられたことや、
その美貌が影響して、学生生活の中で人とうまく付き合うことができなかった。
しかし、ある事件をきっかけに寮の同室となった鴇浦の、おだやかで誠実な人柄に犀は次第に
心を開いていく。

後編→京都帝国大学の予科・第三高等学校に入学した沢良木犀の一学期は、同性愛や嫉妬、
羨望のために散々なものとなった。夏期休暇で帰省した彼を一番に案じたのが、寄宿舎で同室の
鴇浦智巳だ。彼は、はるばる沢良木の養家に赴き大歓迎を受け、沢良木の元気そうな姿に安堵
する。そして二学期。嫌がらせは減ったが、沢良木は学業の方で焦り出した。また、二年生・柚木の、
自分への想いが本物だと知る。一方、鴇浦は偶然にも、沢良木を階段の上から突き落とした犯人を
知り激昂する!!鴇浦を無条件で信頼する沢良木、沢良木への恋情を持て余す鴇浦。二人の想いは
果たして実を結ぶのか。


【More・・・】

▼書評
時は大正時代、舞台は三高の自由寮。
穏当で生真面目な鴇浦、磊落な日比野や舎監の波賀先生、そして個性的な上級生たちに
囲まれて、内向的で無表情な沢良木が感情豊かな青年に成長していく過程も無理ない。
学生寮を舞台にしたかわい氏の作品『猫の遊ぶ庭』と匂いが似ているが、沢良木と鴇浦の、
友情と淡い恋情の狭間で揺れる関係は清涼感すら感じられる。
また、服装や小物、言葉遣いなども細やかに気配りされており、ノスタルジックな時代の空気が
たっぷり詰め込まれた繊細な作品に仕上がっている。
陰湿な事件は起こるが、その犯人の屈折した心情にも触れ、多感な年頃の青年たちの、ちょっと
切ない青春物語。いつの時代にあっても、青春とはほろ苦いもの――「青春時代はいつだって…」
の歌詞が頭を過ぎったのだった。

それだけでは物足りないBLファンのために(?)、作者は最後にニヤリとさせるオチを用意している。
でもここから先は普通のBLになってしまうわけで、その手前で押さえたところが、気持ちのよい
余韻となっているように思う――でも、ちょっと残念(笑)。(2004,9,29 記)


*この記事は website【CAFE唯我独尊】から移行しました。

テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

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