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2002.05.02 (Thu)

「被虐の荒野」神崎春子

ナザレの人につき従う、使徒のようだ……


初出1987年12月-1990月4月まで4回に渡って「小説JUNE」連載。
こりゃまたずい分古い作品(もの)を……(汗)。
ハードな作品が多い神崎さんだけど、今になって思うと、当時はまだ神崎さんにしてはおとなしめだったみたいです。まだハードJUNEの範疇に入っていました。この後、一気にハードSM系に突入したように思います。

kanzaki_0a.jpg  被虐の荒野 (耽美小説SERIES)
  神崎 春子
  勁文社 1992-12
4766917421







内容
菫色の瞳が美しくはあるが、寂しげな青年、メラニー・マーフィはテキサスの牧場で働いていた。
彼はある日、馬を届けに行ったウィンスロウの保安官事務所で、お尋ね者となったアレックのポスターを見つける。銀行強盗にして、父親殺し……愕然としながらもメラニーは、保安官ヴァローに知らない男だと答える。

だが、かつてメラニーはアレックの父サンダーズに救われ、アレックとは兄弟同然に暮らしていた。
あの夜……サンダーズとの情事を、アレックが見てしまうまでは。

「誰をも不幸にしてしまう腐った林檎」……おのれの存在が人を狂わすのだと、罪を重ねる危険な生き方を選んだアレックに、メラニーは罪の意識を感じずにはいられなかった。

メラニーは自分を責め、苛烈で理不尽な運命をも呑み込んでゆく。
しかし、メラニーのそんな生き方は、暴力、レイプという形で関わってくる、醜悪で常軌を逸した男たちの魂さえも、やがて救っていくのだった。


【More・・・】



書評
JUNEには珍しいウェスタン物。
メラニーをめぐる人間の精神の闇を扇情的に描きつつ、不思議と癒しを感じさせるストーリーです。
でも、何よりも「癒し」を求めているのはメラニー自身でしょう。
凄絶な暴力と繰り返される陵辱が、メラニーの孤独や哀しみを際だたせ、しかし、そのひたむきな生き様は、濃密な存在感を読者の心に刻みつけるようです。
おのれの生きている意味を模索するメラニーは、最後の最後にアレックの死と引き換えにそれを与えられますが、菫色の瞳には聖母の慈愛すら滲ませているような映像が浮かぶようです。

私、どうやら「無私の愛」っていうのに弱いらしいのですね(笑)。
思い返してみると自分でもそういう流され型(というと語弊があるかも)のキャラを書いているくらいですから(笑)。
常に受け身の生き方にほろ苦さを感じつつも、心惹かれる作品でした。(2002.5.2記)



*この記事は website【CAFE唯我独尊】から移行しました。

テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

00:27  |  神崎春子  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

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