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2002.10.25 (Fri)

「闇の狩人(上、下)」池波正太郎

1980年・新潮文庫 /2000年・角川文庫

人と人の出会いには運命としか言いようのない不思議があるのかもしれない。
盗賊、雲津の弥平次は、山奥の湯治場で記憶喪失の若い侍と刺客から救い、「谷川弥太郎」の名を
与える。
弥平次も叩けば埃が蔓延する家業である。関わり合いにならぬ方がよいと呟く心の声に耳をふさぎ、
そこまでしたのは、何故かその青年に心を惹かれたからだ。

弥平次は谷川と別れたあとも何となく気にかかり、忘れることができなかった。
一方、谷川のほうも思う気持ちは同じだった。
二年後、弥平次は盗賊の跡目争いで命を狙われ、谷川は香具師(やし)の元締めに剣の腕を
見込まれ、江戸の暗殺者「仕掛人」になっていた。

会いに行きたい――だが二人は、互いの身上を知らない。
闇の世界に身を沈める二人は、互いに相手を思いやり、会いに行くことをためらう。
そしてある日、弥平次は、やっとめぐり合った谷川を目の前に身を隠す。
人を殺めてきたばかりの弥平次だった。血の匂いをさせた身体で会えるはずがなかった。

しんしんと降り積もる雪の中、男たちはすれ違う。
そんなもどかしくも切ないすれ違いが、何度となく重ねられる。
盗賊と仕掛人という二つの闇世界が交錯しながら、お家騒動や跡目争いが絡み合い、
複雑な人間模様が織り上がる。
人には背負っていかなければならない過去がある。己が犯してきた過去を消すことはできない。
逃れられぬ過去と対峙し、そして生きてゆくために、二人は出会い、道連れとなった――ともに過去と、闇と闘うために。

男と女なら恋情に走るところだろう。しかし男同士の「情」に打算も欲もなく、純で真摯だ。
男の意気に男が惚れるというのだろうか。こんな相手に巡り合えるなら、「男に生まれてみたかった」
と、つい気の迷いをもよおさてしまう逸品である(笑)。

4101156077闇の狩人〈上〉 (新潮文庫)
池波 正太郎
新潮社 1980-09

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4041323215闇の狩人〈上〉 (角川文庫)
池波 正太郎
角川書店 2000-08

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テーマ : ブックレビュー - ジャンル : 本・雑誌

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