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2002.10.25 (Fri)

「男色武士道」池波正太郎

1981年 新潮文庫 『あほうがらす』 収録
1992年 立風書房 短編コレクション武士道小説集(12)『疼痛二百両 』

上意打ちとは詰まるところ、武士の意地、男の意地が決意させるような気がする。
そのために彼らは「お家」の存続すら賭ける。無論、当時はそれが美学でもあったわけだが、残される
親も妻子もたまらないよなぁ…というのは女の理論で、男社会の武士道においては絶対言っちゃいけないんだな。
むずむずするけど、ま、それは置いといて――。

佐藤勘助に「尻奉公」と侮辱された小姓・鷲見左門は、念友・千本九郎とともに勘助を討つ決意をする。小姓とはいえ、左門と殿様の間に男色関係はなかったからだ。
首尾よく討ち果たしたものの奉公を続けられようもなく、左門は出奔する。
九郎に会うことも適わず、月日は水のように流れて行く――。

出奔後の左門が会いたい、会ってほしいと幾度となく手紙を出しても、すべてを握りつぶしていた九郎が、左門の家紋である鷲見家の紋入りの裃(かみしも)を身につけ、左門の手紙を胸に抱いて、静かに死出の旅に出るラストが印象的だ。
その静寂のシーンに、九郎の、左門への想いのすべてが凝縮され、静かだからこそ九郎の想いが切なく迫ってくる。
他に、忠臣蔵の浅野内匠頭の男色始末記「火消しの殿」など侮れない作品集である。

各収録作品ご案内
■『あほうがらす』新潮文庫(1981年5月/重版あり)
収録作品/火消しの殿 運の矢 鳥居強右衛門 荒木又右衛門 つるつる あほうがらす 
元禄色子 男色武士道 夢の茶屋 狐と馬 稲妻
■池波正太郎短篇コレクション(12)武士道小説集『疼痛二百両』 (1992年7月立風書房)
収録作品/紅炎 上意討ち 男色武士道 疼痛二百両 晩春の夕暮れに 権臣二千石 火消しの殿 狐と馬 勘兵衛奉公記 雲州英雄記/新書判セミハードカバー(入手困難)

テーマ : ブックレビュー - ジャンル : 本・雑誌

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