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2002.05.30 (Thu)

「黒狼秘譚Ⅱ-剣の時代」斎城昌美

なぜ戦わねばならぬのか――その意味はすでに見失い、続けることが目的となってしまったような「聖戦」の名のもとに、存亡をかけた二国の戦いは、アシュラウルとモアラを引き裂く。
和平を願いつつも、争いは止めるすべもなく、アシュラウルは兄の遺志を継ぎ、将軍として戦いに身を投じることになる。
父ツォロジルが亡くなり執政職を継いだモアラと、完全に敵対する立場になってしまったアシュラウルが、「この国を護る」と告げるシーンが切ない。
敵国を滅ぼすのではなく、国を護ると言った彼の哀しみと苦悩がとても痛い。運命と受け入れるにはあまりにも過酷ではないか。

辛くもバウィラノスの侵攻を食い止めたものの、更なる進攻を強要する王侯たち。しかし自軍の弱点を熟知するアシュラウルは、軍組織を改編し、守備を固めることに腐心する。
増強する敵軍に対し奇襲と策略をもって国境を死守しようとするアシュラウルに、王はバウィラノスへの侵攻を迫る。
旧態依然とした王侯たちに怒り、自軍に引きこもった彼の許にもたらされたのは、無謀な開戦による惨敗の報せだった。救援に向かったアシュラウルは敵神との戦いで力を使い果たし、長く病床についてしまう。疲弊しきった民と壊滅的打撃を受けた自軍の姿が、愚かな聖戦への妄執の結果だった。

戦略と謀略、情報操作、そして神同士の確執などなど、本当にたくさんの戦いが繰り広げられます。陰惨なストーリーに陥りがちのところを救うのが、やはりアシュラウルたち従兄弟様ご一行の掛け合い漫才と、ナシリオスの秘めやかな恋の行方です。ついクスクス笑ってしまいましたが、物悲しい章となっています。

テーマ : ブックレビュー - ジャンル : 本・雑誌

23:58  |  斎城昌美  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

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