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2009.11.04 (Wed)

「緋色のヴェネツィア-聖マルコ殺人事件」塩野七生

10月20日から10日間、イタリアに行ってきました。
といっても、フィレンツェとヴェネチアだけ。
イタリア珍道中は後日、【この愚かな日々】に書くつもりだけど、
フィレンツェ、ヴェネチア行きにあたって、勉強がてら再読したのが、
塩野七生(しおの ななみ)さんのルネッサンス歴史絵巻3部作――。

……いいのか、私。
もっと勉強しなきゃならないことがあるんじゃないか?
イタリア語とかイタリア語とかイタリア語とか……

ま、取りあえず、ルネッサンス歴史絵巻第1作です。


4022640081緋色のヴェネツィア―聖(サン)マルコ殺人事件 (朝日文芸文庫)
朝日新聞 1993-06

by G-Tools


1987年週刊朝日連載、1993年朝日文芸文庫
権謀術数が渦巻く地中海世界を描いた、ルネサンス歴史絵巻第1部。
3部作の 『緋色のヴェネツィア』『銀色のフィレンツェ』『黄金のローマ』は、16世紀前半、超大国の脅威に翻弄される、 ヴェネツィア・フィレンツェ・ローマの三都市の物語で、現在はイタリアの3つの都市だが、貴族社会のヴェネツィア、メディチ家が権力を握るフィレンツェ、宗教のローマは、当時それぞれ別々の国。作者曰く、主人公は「都市」なのだそうだ。

ヴェネツィアの名門貴族マルコ・ダンドロを狂言まわしに、ヴェネツィア共和国の大きな歴史のうねりを描いている。
ある投身自殺現場からこの物語は始まる。この謎には、国家の存亡、野望、秘密の愛など、さまざまが思惑が交差していく。

物語の舞台となっている1520年代後半のヴェネツィア共和国は、東にオスマン=トルコ、西にはスペインとフランスが虎視眈々と狙い、そして北にはオーストリアが控えているという、微妙なバランスの中にあった。
ヴェネツィアの名門ダンドロ家の出身でヴェネツィア政府の中心にいるマルコ・ダンドロは、ヴェネツィア元首(ドージェ)アンドレア・グリッティの息子で幼馴染みのアルヴィーゼ・グリッティと久しぶりに再会する。アルヴィーゼはオスマン=トルコの首都コンスタンティノープルで手広く商売をしており、トルコの宰相イブラヒムを通じてトルコ政府とも強い繋がりがある。
通商で生きるヴェネツィアは、トルコとの友好関係をなんとか維持するべく、グリッティの密命を帯びたアルヴィーゼを助けるため、マルコをコンスタンティノープルに派遣する。
結果は歴史が示す通り、キリスト教国であるヴェネツィアはスペインと協定を結ばざるを得なくなり、トルコとの戦闘に突入するのだが、物語は、アルヴィーゼの敗北と恋人リヴィアとの悲劇、マルコと遊女オリンピアの出会いを織り込み、史実と創作とを混在して、展開していく。

「全くの創作である主人公2人以外は、殆ど史実である」と著者が書き記しているように、登場人物、出来事、制度、風習などの記述がリアルで、楽しみながら歴史の詳細が勉強できる。
史実物というと堅苦しく感じるかもしれないが、「夜の紳士達=警察」「聖マルコの鐘楼は、外国重要人物の牢獄」等、事実の説明にもスリリングな語り口。
共和政治のドージェ(元首)が如何なるものかとか、「商船の石弓兵は上流階級の息子がなる」とか、
「未婚の娘は公式の場に出られない」「同性愛者が広まるのを心配した政府が、娼婦や遊女には乳房をあらわにする事を奨励した」(!)、「トルコのスルタンは、妻が敵の捕虜になっては困るから正式に結婚してはならない」などなど、目が点になったり、ウロコが落ちたり、好奇心を満足させられながら物語が展開していく。

ちなみに創作された主人公とは、若きヴェネツィアの貴族マルコと、ローマから逃れた謎の遊女オリンピア。屈折具合がちょっと危うい、魅力的なアルヴィーゼは実在した人物らしい。各国家の仕組みもあるのだろうけど、昔の殿方はダイナミックかつ繊細で素敵だわ~(笑)。

尚、タイトルに「殺人事件」とあるが推理小説ではない。殺人事件の方は物語の導入部にすぎず、メインの話はこれをきっかけにはじまる。陰謀あり、悲恋ありの絢爛たる歴史絵巻だ。(2004年10月28日記)


テーマ : ブックレビュー - ジャンル : 本・雑誌

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